日本製復活か?あれでも少し形が違いませんか?平和鳥の事情

 

「平和鳥」中国製が台頭する中、日本製が復活か?

最近、平和鳥について書かれた書物を見ることがなくなった。なぜ、平和鳥と名付けられたのか知っている人も少なくなった。まして販売者もそのことを知っているのもまれになっているようだ。

ひと頃のブームは去ってしまったが、今でも「日本製」が手に入るようだ。そんなわけで少し知っていることを書いておこう。

以前、サイエンストイで販売していた日本製平和鳥
↑以前、サイエンストイで販売していた日本製平和鳥

頭がちょんまげに?じつはこんな理由がある。


10年ほど前のこと(2007年頃)、ショッキングな出来事が起きた。生産者からの一報である。今生産している平和鳥の「帽子」がなくなるという・・・。成型型なので、すぐ作れると思っていたら状況が違っている。色々な理由があったと思うが、要約すると次のことのように感じた。

『これから、作ることはできるけどLOTが大きくて今後他の部品との兼ね合いで作れない』と言うものだった。それまで、フラスコに入る液体の着色が「赤」「青」「緑」「黄」と四色で展開されていたが、生産の効率を上げたいと「赤」「青」だけになった。色の混りに詳しい人ならすぐにわかると思うが、綺麗な色を出すために「黄」「緑」「赤」「青」を作っていきタンクを洗浄して「黄」に戻っていく。その四色の効率が、間に合わなくなって来ていた。

それは、生産者の高齢化によるものだった。さらに「水飲み」の精度はよかったが、生産の仕上がりは、帽子の取付にボンドがはみ出ていたり、目は対称からづれて取付られたりと製品の完成度は雑だった。それは、当時「台湾製(現在は中国製)」として販売されていた『ハッピーバード』の工業生産品の方が出来上がりはキレイだった。

この日本製の平和鳥が、またよく見るようになった。と言ってもトンガリ頭の顔をしたモノで、想像ですが「帽子がなくなった?」と思ってしまう。構造と製造工程を考えると理屈が通る。ガラスをフラスコ形状で作り色のついた液体を入れてガラスの先端を加熱して閉じる。そこが尖った先端で、本来は帽子で隠されている場所のはず。


(日本製平和鳥 販売:amazon 外部リンク)

平和鳥の完成までの細かな工程を、ほとんど手作業で行うので作り手の苦労がうかがえる。しかし、現在の姿はちょっとだけさびしい。水を飲む精度は金具の位置を固定して出荷していたので、中国製の位置決めをしないと動かないに比べて精度はよかった。そこを売りに完成度を高めてほしかったと思う。なんだかんだ言っても、日本国内で「日本製平和鳥」を生産しているのはここだけである。部品がなくなって行く現状を察するに長く続けて行くのだろうか。

最初の話に戻そう。平和鳥の名前の由来は、昭和20年代に作られた元祖発明者「平田化学」の平田さんが広島で考えだした、からと言われている。
ちなみにその時はおなじみのシルクハットなどかぶっていなかった。その後色々な地方で、同じように原理をまねてつくられていった。現在でも生産が続いているのは、そのひとつの会社なのだろう。

小さなエネルギーを使った熱機関が、このような玩具の世界から飛び出している先人のノウハウ、知恵が詰まっている。だから科学玩具は楽しく美しいのだ。


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